かえし・つゆ


醤油に味醂と砂糖を合わせた「かえし」

ペットボトルや瓶が無かった江戸時代に、

醤油の鮮度を保つために考えられたとも言われる。

それを出汁で薄めたものが「つゆ」。

江戸時代の万能調味料である「かえし」と「つゆ」について

まとめました。





@つゆの歴史


 そば切り当初のつゆは「たれ」と呼ばれていた。

 1643年(寛永20年)の「料理物語」には

 垂れ味噌を用いたことが記されている。

 垂れ味噌は味噌を水で溶いて煎じたもので、

 煎じる前に鰹を入れ、煎じて濾す煮貫きを

 用いることもあった。それが標準的なつゆであった。

 信州では辛味大根のしぼり汁に焼き味噌を

 溶いたものを用いた。

 現在のつゆが完成するには、醤油が豊富に

 供給されるようになってからである。

 かえしとは元汁のことで、

 語源は「煮かえす」とされている。

 かえしには醤油と砂糖、味醂を混ぜ沸騰直前まで

 煮立てて、自然に冷ました本がえしと、

 醤油に水で溶かした砂糖と味醂を加え、

 そのまま熟成する生かえしがある。



Aかえし・つゆのうま味


 本がえしは7〜10日ほどで自然に熟成されるのに対し、

 生かえしは本がえしよりさらに5日ほど寝かし、

 長期熟成させ出来上がる。

 かえしを作るのは、醤油と砂糖や味醂を混ぜて

 長期間寝かせることで、醤油の口当たりをやわらかくし、

 つゆにコクを持たせて、だしとなじみを良くするためである。

 醤油に含まれるグルタミン酸は、

 かつお節に含まれるイノシン酸のうま味を引き立てる。

 辛汁はだしとかえしを合わせて半日寝かし、

 加熱出来る容器に移し、湯煎する。

 さらに半日以上寝かし、だしとかえしのなじみを良くする。

 熟成させることで、醤油の角がとれ、

 まろやかさが加わっていく。



Bかえしの保存


 伝統的なかえしの保存方法は、大きなかめに入れ、

 返し蔵に保存されていた。

 床下などの日光の当たらない場所に、

 かめ半分を土の中に埋め込んでおくのが

 良いとされている。

 かえしにしておく理由には、うま味の熟成や、

 あらかじめ砂糖・味醂を合わせておくことで、

 手間が省けること、味が一定になることの他に、

 醤油を変質させることなく保存できるという発見があった。

 ジャムなどの砂糖漬けにみられるように、

 砂糖を加えることで保存性が高まる。

 昔は流通手段が発達していなかったために、

 ある程度まとまった在庫を必要とし、

 樽で保存していたため、空気の流通は良いし、

 木に醤油が染み込み蒸発しやすかった。


Cかえしの利用


 かえしをの混合割合の一例を紹介します。


かえし
だし
味醂
焼き鳥・ウナギ
1

1
煮魚
1
1
1
蕎麦・丼つゆ
1
3

天つゆ
1
4

ぶっかけ
1
6

かけ汁
1
8