蕎麦打ち講座


蕎麦打ちには木鉢作業、のし作業、切り作業に分けられる。

特に木鉢作業は蕎麦の良し悪しを決める大切な工程です。

水回しが上手にできれば8割方良い蕎麦になります。

動画を交えて、蕎麦の打ち方をご紹介します。






木鉢作業


1.加水1回目


 


 8割ぐらいの水を粉の中心に入れ、

 周りの粉を真ん中の水の上にかけ、

 手のひらを付けないように両手の指を立てて

 円を描くように“手早く”攪拌する。

 蕎麦粉や水の計量は電子ばかりを使い、正確に行う。

 だまが出来ないように手早く行うのがコツ。


  水回しの時の手の形

  



2.分散1回目


 


 両手で摺り合わせ、蕎麦粉全体に馴染ませる。

 乾いた粉がなくなったら、2回目の加水を行う。

 摺り合わせは力を入れずに行う。

 力を入れると水が閉じ込められてしまい、

 均一な水回しとならずに蕎麦切れをする。

 おにぎりを握るような手で、蕎麦粉と蕎麦粉を擦るように。


3.加水2回目


 


 こね鉢中央に少しずつ加水する。

 小さい粒に優先して加水するように心がける。

 おおよそ1割の水を入れたら分散2回目を行う。


4.分散2回目


 


 2回目の分散は、1回目に比べて僅かに力を入れる。

 大きな塊がある場合は手で割いて、

 均一な水分量になるように心がける。


5.加水3回目


 


 最後の加水は数パーセントを調整して行う。

 加水量は蕎麦の塊の大きさや

 こね鉢の底の湿り具合から加水量を判断する。

 挽ぐるみは加水を少なめに、粗挽きは多めに加水する。


6.くくり


 


 分散よりも力を加えてくくる。

 小さい粒が残っている場合は無理にくくらずに、

 僅かに水を加えて調整する。


7.こね


 


 体重をかけて表面がツルツルになるまでこねる。

 目安は80回ほど。

 こねすぎるとだれて、足りないと蕎麦切れする。

 体重をかけないと歯ぬかりする。


8.菊練り


 


 菊練りは段々力を抜いていくのがコツ。

 左手は添えるだけ、右手は手の腹を使い中心へ。




のし作業


9.手のし


 


 のし板に打ち粉を振り、蕎麦玉を置き、

 その上に打ち粉を振る。

 外周を手のひら付け根で反時計回り3時⇒9時に

 上から押しつぶす。

 残った中心の山を潰す。

 打ち粉はくっつき防止だけではなく、

 蕎麦を茹でた際に表面がツルツルになる役割を果たす。

 打ち粉を押し込む気持ちで手のしをする。


10.丸出し


 


 上半分を、麺棒を使いバイバイをするように押し広げ、

 15度ずつ回転させ繰り返す。

 生地の端までのさないよう注意する。

 広がったら波打った生地を猫手で

 12時、2時、10時の順で慣らす。

 猫手はハの字に動かす。

 丸くするよりも均一な厚みにする。



11.角出し1回目


 


 打ち粉をIの字に振る。

 麺棒で巻いて、小刻みに前へ押し出す。

 引くときは角を下にして引かない。

 180度回転させ、生地を巻きなおし転がす。

 90度回転させ、打ち粉をふって巻きなおし回転がす。

 180度回転させ、巻きなおし転がす。


12.角出し2回目


 


 2回に分けて行うと厚みの偏りが少なくなる。


13.肉分け・本のし


 


 四隅の薄い部分に、厚い中央部から肉を分けて、

 均等な肉厚にする。

 厚みになるように上下に分けてのす。

 のした後、段差がないか、手でチェックする。

 麺棒は押すときに力を入れてのし、

 引くときは厚み調整程度に力を入れる。



14.たたみ


 


 半面にたっぷりと打ち粉を振り、折りたたみ、

 半面に打ち粉をふり折りたたむ。

 麺棒を補助に使う。





切り作業


 


 まな板に打ち粉を振り、その上に畳んだ生地を載せ、

 生地の上にも打ち粉を振る。

 切った蕎麦がすだれ状になった時は、

 まな板の打ち粉を多く振る。

 駒板を生地の上に載せ、左手親指・人差し指・小指を

 二等辺三角形になるよう支える。

 親指、人差し指は枕に近づけ、

 指が白くなるぐらいにしっかりと押さえる。

 駒板に包丁を沿え、包丁を少し倒し、駒板を移動させ、

 切り幅1.2mm(切りべら23)を目安にする。

 包丁を上げ、斜め45度に押し切りをする。

 1人前ずつ切った蕎麦の下に包丁の腹を入れ、

 麺を滑らせながら打ち粉を切り口にかける。

 蕎麦の先端を持ち、打ち粉を払い折れないように

 蕎麦を生舟(トレー)に入れる。

 30〜60分寝かすことで蕎麦の味が慣れる。




茹で作業



 1人前ずつ40〜50秒茹でる。

 パラパラと蕎麦を投入し蓋をする。

 水を張ったボールに蕎麦を入れ、流水で急冷し、

 水を入れ替える。

 この作業を3回する。

 ボールに氷水を用意し、ザルごと蕎麦をつけ、

 麺をしめる。

 かけそばはしめず、お湯に潜らせかけつゆを注ぐ。