小麦粉
人類最古の作物である小麦。
パンやうどん、そばのつなぎに欠かせない
もっちり食感の小麦について紹介致します。
@歴史
今から約1万年前には、
すでにその栽培が始められていたといわれている。
当初は麦や雑穀類の混ざったものを
石と石の間にはさんで砕いてから焼いて食べており、
その後、土器が生まれると粗挽きにした麦を
お粥のようにして食べたと言われている。
その後お粥や、粉にして平焼きにして食べるようになり、
紀元前2,000年頃には今のパンに似た食べ物を
つくるようになった。
日本でも弥生時代の中期頃には、
水田耕作とともに麦類が畑作生産されていた。
A構造
小麦は、「胚乳」「胚芽」「表皮」という
3つの部分からできている。
「胚乳」が小麦粉になり、その主成分は、
糖質(でんぷん)、たんぱく質である。
「表皮」はミネラル・繊維質が多く、"ふすま"として
飼料やペットフードなどに使われる。
「胚芽」は脂質、たんぱく質、各種ミネラル
・ビタミンを含んでいる。
分離、精製して栄養補助食品等に使われる。
B性質
小麦粉の成分の約70%はでんぷんで5〜18%は蛋白質。
蛋白質は主としてグルテニンとグリアジンである。
水を加えてこねると、2つの蛋白質は互いにくっつきあい、
グルテンと呼ばれる膜状のものになる。
このグルテンは、小麦にだけ含まれる蛋白質である。
でんぷん質は加熱すると糊化する特性を有し、
蕎麦、饂飩に用いられた時に、
独特のモチモチとした食感を生む。
C種類
小麦粉は強力粉、中力粉、薄力粉に分かれる。
強力粉はグルテンの量が多く、粗い粉になる。
強力粉はたんぱく質が多く、粘弾性(粘り・弾力性)
に富むため、パンや中華麺向き。
(主としてアメリカ、カナダ産)
中力粉はうどん(ゆで麺や乾麺)などに向く。
(主としてオーストラリア、国内産)
薄力粉は天ぷらなどの料理、
ケーキやお菓子向く。(主としてアメリカ産)
D蕎麦への利用
蕎麦のつなぎとして使用する場合は、
結合力の弱い蕎麦を、グルテンの力を利用して
つなぎとめるために用いられる。
蕎麦粉100%の蕎麦では、
1〜2時間は切れることは無いが、
時間経過とともに切れてしまう。
使用する小麦は中力粉を使用する。
グルテンが多いと蕎麦独特の歯切れの良さが
失われてしまい、グルテンが少ないとつなぎとしての
役割を果たせない。
また、小麦粉のきめ細かいでんぷんにより、
舌触りや喉越しを良くする効果がある。
小麦粉を入れた蕎麦を“駄蕎麦”という呼び方を
する事があるが、小麦粉のみを使用した饂飩が
駄物でないのであれば、蕎麦にも同じことが
いえると思われる。