郷土蕎麦 (さ行・た行)



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酸茎蕎麦(すんきそば)【長野県】


 長野県のソバどころ、木曽開田村でみられる

 厳寒の冬ならではの食べ方。

 スンキは同地方で作られているカブ菜漬の一種で、

 酸味が強いので酸茎(すぐき)漬けともいわれ、

 これが転訛したもの。

 塩をまったく使わずに自然の乳酸発酵で作る。

 普通のかけそばの上に細かく刻んだスンキと

 削り節をのせる。

 食べるときは全体を良くかき混ぜ合わせる。


蕎麦鍋【島根県】


 寄せ鍋のように、その場で鍋にそばを入れ、

 ゆでたてを各種の薬味を使って食べる。


白河蕎麦【福島県】


 白河(福島県)は奥羽白河藩十一万石

 松平定信の城下町。

 八溝山西側山麓一帯から西白河境に至る

 旧陸羽街道に沿った山間部が、

 かつて屈指のソバ名産地であった。



深大寺蕎麦【東京都】


 深大寺とその周辺から産したソバの総称で、

 そば店としては文久年間(1861〜64)に農業の

 かたわら始めた「嶋田屋」が元祖といわれている。

 「門前そば」が軒を並べるようになったのは

 昭和四十年代以降からで、現在は二六店を数える。


蕎麦泥鰌(そばどじょう)


                              【石川、新潟、徳島県】


 そばを9〜12pの長さにして6oぐらいの幅に切る。

 ちょうどドジョウぐらいの太めのそばである。

 ゆで上げたものに、つぶし餡をかけたもの。

 新潟県佐渡郡佐和田町で作られる。

 石川県鳳至郡穴水町では、大鍋に煮込んだ

 小豆汁を作り、つなぎを使わずに打ったそばを

 ドジョウぐらいの太さに切り、生のまま一緒に煮込み、

 味噌味で仕上げる。



大山蕎麦(だいせんそば)【鳥取県】


 伯耆富士の名がつく大山は、

 島根県西部の白山火山帯にある標高1713bの山。

 山麓一帯にソバが栽培され、大山ソバとして知られる。

 そば店では「大山そば」を名乗るところもある。


高遠蕎麦(たかとおそば)【長野県】


 ダイコンおろしの絞り汁に醤油か焼き味噌で

 味をつけた汁で食べるそばのこと。

 長野県高遠地方(現・上伊那郡高遠町)に

 特別の山ダイコン(辛味ダイコン)が産出されたために

 この種の食べ方が起こったが、

 後に高遠の保科氏が山形を経て寛永一十年(1643)に

 会津若松へ移封せられたため、福島県会津地方や

 新潟県東蒲原・中蒲原地方にも同じ食べ方が伝わった。


裁ち蕎麦【福島県】


 福島県南会津郡檜枝岐村は、

 徳島県の祖谷と並んで平家の落人集落の秘境として、

 またソバどころとしても知られている。

 その檜枝岐に伝わる、独特の手法で打つ郷土そば。

 小間板を使わずに包丁切りを行う。

 丁度布を裁断するように、包丁を手前に引いて切る。


津軽蕎麦【青森県】


 津軽地方独特のそば作り。

 そば粉に大豆粉を三%混ぜて「そばがき」を作り、

 これをそば粉に入れて練り上げる。

 こね上げて水に浸け、

 翌日にそば粉をまぶして打ち上げる。

 だしは焼き干しと昆布を主体に

 醤油だけで味つけする。

 かけ用の丼で熱々を食べる。

 薬味はネギ、紅葉おろし。


対馬蕎麦【長崎県】


 長崎県対馬は昔からソバの栽培が盛んで、

 かつて朝鮮へまで輸出していた。

 つなぎを一切使わず水でこね上げる。

 そばを盛る甑(こしき=せいろ)は30p角で

 小指ほどの女竹をそのまま編んでいる。


戸隠蕎麦【長野県】


 戸隠山は山岳修験者の霊山で、

 宿坊ではそばが常食で歴史も古い。

 冷水で打った腰の強い手打ちそばを、

 水洗いしてから食べやすいように

 手で巻くようにして小分けにして竹製の笊に盛る。


富倉蕎麦【長野県】


 長野県飯山市富倉のそばは、

 山ゴボウ(オヤマボクチ)の葉をつなぎにして打つ。


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